ミニストップの株価について調べてみるとPERが異常に高い数値になっていて驚いた方も多いのではないでしょうか。今の株価が利益の何倍まで買われているのかを示す指標がこれほど高いと不安になりますし、一方で過去最高値と比較してこれから何倍になる可能性があるのかも気になるところです。この記事では株価が何倍になるかという疑問に対して指標や優待の面から分かりやすく解説していきます。

- PERが異常に高い理由と株価が下がらない仕組み
- ソフトクリーム無料券などの株主優待を含めた実質利回り
- ベトナム進出や無人店舗事業などの将来性と成長期待
- 現実的に狙える株価の上昇余地と目標株価の考え方
ミニストップの株価は何倍?PERと優待の謎

ここでは、検索結果などで「800倍超」という驚愕の数字が出てくるPERのカラクリと、それでも株価が維持されている理由について、私が調べた内容を整理してお伝えしますね。
異常なPER853倍の理由と実態
株式投資の指標を見慣れている人なら、ミニストップのPER(株価収益率)を見て二度見したはずです。なんと約853倍という、ちょっと信じられない数字が出ているんです。
通常、東証プライム市場の平均は15倍くらいですし、競合のセブン&アイ・ホールディングスでも20倍から26倍程度です。「もしかしてAmazonやテスラみたいな超成長株扱いなの?」と思ってしまいますが、実態は少し違います。
実はこれ、計算式の「分母」である利益が極端に少ないことが原因なんです。
PER(倍) = 株価 ÷ 1株当たり純利益(EPS)
会社予想によると、ミニストップの当期純利益はわずか7,000万円ほど。これを発行済株式数で割ると、1株当たりの利益は約2.4円にしかなりません。株価2,060円をこの2.4円で割ることで、850倍という数字が出てしまっているわけです。
つまり、期待だけで買われているというよりは、「利益が一時的に消えているけれど、株価は下がっていない」という状態なんですね。
PBRから見る資産価値と割安判断
利益の倍率であるPERが役に立たない時は、資産の倍率であるPBR(株価純資産倍率)を見るのが良いそうです。こちらを確認すると、約1.83倍となっていました。
これは「会社が解散した時に残る価値」の1.8倍の値段がついていることを意味します。面白いのが、業界トップのセブン&アイ(約1.4倍〜1.5倍)よりも、ミニストップの方が資産に対して高く評価されているという点です。
赤字や薄利でもPBRが高い理由は、バックにイオングループがいるという安心感や、後述する株主優待の人気が株価を下支えしているからだと考えられます。
人気の株主優待とソフトクリーム価値
ミニストップの株価が下がらない最大の理由は、間違いなくこの「株主優待」にあると私は思っています。100株持っているだけで、あの美味しいソフトクリームの無料券が年間10枚(5枚×年2回)もらえるんです。
最近は物価が上がって、ソフトクリームも値上げしていますよね。「北海道ミルクソフト」は約313円ですが、「プレミアムソフト」や「得盛ソフト」になると400円〜500円を超えてきます。この無料券は高い商品にも使えることが多いので、インフレになればなるほど優待券の価値も上がるという、まさに「食べるインフレ対策」なんです。
仮に1枚400円相当として計算すると、年間4,000円分の価値になります。これはファンにはたまらないですよね。
配当金と優待を含めた実質利回り
投資家として気になる「結局いくらお得なの?」という部分を計算してみました。配当金と優待の価値を足した「総合利回り」で見てみましょう。
| 項目 | 金額(年間) | 備考 |
|---|---|---|
| 現金配当 | 2,000円 | 1株20円予想 |
| 優待価値 | 約4,000円 | ソフトクリーム10枚換算 |
| 合計 | 約6,000円 |
株価が2,060円の場合、総合利回りは約2.9%です。これがもし株価が下がって1,500円になったとしたら、利回りは4%に跳ね上がります。日本の個人投資家は利回り4%などの高利回りが大好きなので、株価が下がると「買い」が入って下げ止まるわけです。
この「優待利回りの岩盤」があるからこそ、PERが何百倍になろうとも株価が2,000円台をキープできているのかもしれませんね。
過去最高値と比較した現在の株価水準
「昔はもっと高かったの?」という点も調べてみました。過去のデータを振り返ると、このような推移になっています。
- 上場来高値:4,040円(1993年)
- 2006年高値:2,870円
- 現在:約2,060円
過去最高値の4,000円台と比較すると、現在は約半分(0.5倍)の水準ですが、直近の安値1,599円からは回復してきています。業績が黒字転換したことで、最悪期は脱したという見方が広がっているようですね。
ミニストップの株価は何倍になるか徹底分析

ここからは、これからミニストップの株価が上昇して「資産が何倍になる可能性があるのか」、その夢と現実について深掘りしていきます。
夢のテンバガー達成の可能性を検証
株式投資の夢といえば、株価が10倍になる「テンバガー」ですよね。ミニストップでそれが起こるかというと、正直に言って現時点ではほぼ不可能だと思います。
株価が10倍(約20,000円)になるには、利益も数百倍に増える必要があります。今のコンビニ事業の延長線上でいきなりそこまで成長するのは、魔法でも使わない限り難しいでしょう。過度な期待は禁物ですね。
今後の成長を左右するベトナム事業
もし株価が大きく化けるとしたら、そのカギを握っているのは間違いなく「ベトナム事業」です。日本は人口が減っていますが、ベトナムは若い人が多くてこれからどんどん豊かになっていく国です。
現在ベトナムに約183店舗を展開していて、これまでは赤字続きだったようですが、最近は商品戦略を見直して黒字化が見えてきているとのこと。総合商社の双日とも組んでいて、将来的に500店舗、1,000店舗と増えていけば、日本の小売株からアジアの成長株へと評価が一変する可能性があります。
ここが成功するかどうかが、株価が「2倍」を目指せるかどうかの分かれ道になりそうです。
無人店舗ポケット事業の将来性
もう一つの面白い取り組みが「ミニストップポケット」という無人コンビニです。オフィスや工場の中に小さな自販機型の店舗を置くサービスで、これが結構増えているんです。
普通のコンビニを作るには何千万円もかかりますが、これなら低コストで設置できますし、何より「人件費がかからない」のが最強です。人手不足が深刻な日本において、このモデルはかなり理にかなっていますよね。
現在は1,200拠点ほどですが、これが3,000拠点、1万拠点と増えていけば、地味ながら確実な利益の柱になりそうです。
アナリストによる目標株価の予想
プロのアナリストたちはどう見ているのでしょうか。実は、コンセンサス(市場予想の平均)はかなり厳しくて、「売り」推奨が多く、目標株価も1,300円近辺というレポートも見かけます。
プロはシビアに「利益」で計算するので、今の利益水準だとどうしても「割高」という判断になります。個人投資家の「優待愛」とは温度差があることは知っておいた方が良いですね。
ミニストップの株価は何倍まで狙えるか

最後にまとめとして、私なりの「ミニストップ 株価 何倍」に対する結論です。
いきなり10倍(テンバガー)を狙うのは非現実的ですが、業績がしっかり黒字で定着し、ベトナム事業が軌道に乗れば、過去最高値の4,000円(現在の約2倍)を目指すシナリオは長期的にはあり得ると思います。
短期的には、空売りをしている投資家の買い戻しなどが起これば、1.2倍〜1.3倍(2,500円〜3,000円)くらいまでは上昇するチャンスがあるかもしれません。もちろん投資は自己責任ですが、指標の数字だけを見て「割高だ!」と切り捨てるには惜しい、不思議な魅力がある銘柄だと感じました。
※本記事は一般的な情報の提供を目的としており、投資の勧誘を目的としたものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。正確な情報は必ず公式サイトや証券会社のデータをご確認ください。

