最近、ニュースやSNSで「セブンイレブン 株価下落」という話題を目にして、不安や疑問を感じている方も多いのではないでしょうか。カナダ企業による買収やTOBの可能性に関する報道、イトーヨーカドーの売却や閉店といった身近な店舗への影響、さらにはセブンイレブンが潰れるのではないかという極端な噂まで、様々な情報が飛び交っていますね。なぜこれほどまでに株価が下がっているのか、その理由や将来性、そして今後の株価予想について、私なりに調べた情報を整理してみました。

- 買収騒動の経緯と株価が急落した本当の理由
- 北米事業の不振など業績悪化の裏側にある事情
- 創業家によるMBOや構造改革がもたらす変化
- 今後の株価回復の可能性と投資判断のポイント
セブンイレブンの株価下落の理由と買収騒動の全貌

ここでは、なぜセブン&アイ・ホールディングスの株価がこれほどまでに大きく動いたのか、その背景にある「買収騒動」や「業績の悩み」について、時系列に沿って詳しく見ていきたいと思います。ニュースの見出しだけでは分からない、事の真相を一緒に紐解いていきましょう。
セブン&アイへの買収提案とTOBの可能性
2024年の夏頃、市場に大きな衝撃が走りましたね。カナダのコンビニ大手「アリマンタシォン・クシュタール(ACT)」から、セブン&アイに対して買収提案があったことが明らかになったのです。この時、株価は「TOB(株式公開買付)で高く買ってくれるかも!」という期待感から一気に跳ね上がりました。
私自身も、この時は「すごいことになるかも」とドキドキして見ていました。提示された買収額は総額7兆円規模とも言われ、成立すれば日本企業への買収としては過去最大級です。投資家の間では「もっと高い値段がつくんじゃないか」という期待、いわゆる「買収プレミアム」が株価に乗っかっている状態でした。
ここがポイント
一時的な株価上昇は、企業の「実力」というよりは、買収への「期待」によるものでした。
しかし、2025年に入って状況は一変します。クシュタール側が「建設的な話し合いができていない」として、提案を事実上撤回してしまったんです。これにより、膨らんでいた期待が一気にしぼみ、失望感から株価が急落してしまいました。これが、最近の株価下落の大きなきっかけの一つと言えます。
セブンイレブンが潰れるという噂の真相
株価が急に下がると、インターネット上では「セブンイレブン 潰れる」といった検索ワードが出てくることがありますが、結論から言うと、倒産して潰れるという心配はまずありません。
確かに株価は下がりましたが、それはあくまで株式市場での評価の話です。セブン&アイという会社自体は、依然として巨大な売上と利益を生み出していますし、手元の資金(キャッシュフロー)も潤沢です。今回の株価下落は、借金が返せなくて経営破綻するといった類のものではありません。
豆知識:倒産リスクと株価下落の違い
株価下落は「将来の成長期待が下がった」ことを意味する場合が多く、「今すぐ会社のお金がなくなる」こととは別問題です。
むしろ、会社側は株価を何とか上げようと、後ほど触れる「自社株買い」などの対策を必死に講じています。ですので、私たちが普段利用しているお店が明日なくなるような事態にはなりませんので、その点は安心してくださいね。
イトーヨーカドーの売却と閉店の現実
私の生活圏にもイトーヨーカドーがあるので、このニュースは特に気になりました。セブン&アイは、長年の課題だったスーパー事業(イトーヨーカ堂など)を切り離すことを決めました。
具体的には、「ヨーク・ホールディングス」という新しい会社を作ってスーパー事業をまとめ、その株式の過半数をアメリカの投資ファンド「ベインキャピタル」に売却する計画が進んでいます。これは、利益率の高いコンビニ事業に経営資源を集中させるためです。
注意点
「売却=即閉店」ではありませんが、今後は採算の取れない店舗の整理(閉店)が進む可能性は高いです。
この「イトーヨーカドー 売却」のニュースも、市場では「構造改革が進む」と好意的に受け止められる一方で、「身近なお店がどうなるのか」という不安要素としても見られています。ただ、投資家の視点で見れば、苦戦していたスーパー事業を切り離すことは、グループ全体の収益性を高めるための必要な痛みと判断されているようです。
創業家MBOと資金調達の難航による影響
クシュタールからの買収を防ぐために浮上したのが、創業家(伊藤家)を中心とした「MBO(経営陣による買収)」という案です。簡単に言うと、創業家が銀行などからお金を借りて、市場に出回っている株を全部買い取り、会社を非公開化(上場廃止)してしまうという作戦です。
これには「外部からの干渉を受けずに、じっくり改革できる」というメリットがありますが、問題はその金額です。なんと9兆円規模という天文学的な資金が必要になると言われています。
最近の報道では、メガバンクがこの巨額融資に慎重になっているとか、資金集めが難航しているといった話が出ています。市場は「本当にMBOできるの?」と疑心暗鬼になっており、この不透明感が株価の重石になっているんですね。「期待したほどスムーズに進んでいない」というのが現状のようです。
北米事業の不振が招いた業績悪化の背景
実は、株価下落の最も根深い原因は、この「北米事業の不振」にあると言われています。かつてはセブン&アイの稼ぎ頭だったアメリカのセブンイレブン(7-Eleven, Inc.)が、今とても苦しんでいるんです。
理由は大きく2つあります。
- 歴史的なインフレ: アメリカの物価が上がりすぎて、お客さんが節約志向になり、コンビニでの「ついで買い」を控えるようになったこと。
- ファストフードとの競争激化: マクドナルドなどが「5ドルセット」のような格安メニューを出してきたため、コンビニの割高感が目立ってしまい、お客さんを奪われていること(バリュー戦争)。
これにより、北米事業の利益が大幅に減ってしまいました。「買収話がなくなった後、今の経営陣でこの苦境を乗り越えられるのか?」という厳しい目が市場から向けられていることが、株価が上がらない根本的な理由なんですね。
セブンイレブンの株価下落後の将来性と株価予想

ここまで厳しい現状を見てきましたが、では今後はどうなるのでしょうか?ここからは、株価回復のカギとなる「将来性」や、会社が打ち出している「起死回生策」について解説します。
セブン&アイの今後の株価予想と目標株価
これだけ下がると「もうダメなんじゃないか」と思ってしまいますが、プロのアナリストたちの見方は意外と冷静で、むしろ「買い」の判断をしている人が多いようです。
2025年12月時点での情報を参考にすると、アナリストの平均目標株価は2,287円付近とされています。現在の株価水準からは、まだ上昇余地があると見ているんですね。その理由は、「悪いニュースはもう株価に織り込まれた(これ以上下がりにくい)」という判断や、次に紹介する「自社株買い」への期待があるからです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| アナリスト評価 | 比較的「買い」が優勢 |
| 平均目標株価 | 約2,287円(2025年末時点のコンセンサス) |
| 現在の状況 | 悪材料出尽くしかどうかの見極め段階 |
将来性を左右する北米事業のIPO計画
セブン&アイが掲げている大きな目標の一つに、苦戦している北米事業(SEI)を、2026年以降にアメリカの株式市場へ上場(IPO)させるという計画があります。
これは、グループの中に埋もれている北米事業を独立させて、「本来の価値」を市場に正当に評価してもらおうという狙いです。もしこれが上手くいけば、親会社であるセブン&アイの価値も見直され、株価が上がる可能性があります。
ただし、そのためにはIPOするまでに北米事業の業績を回復させなければなりません。「高い値段で上場できるくらい、業績を立て直せるか」が、これからの最大の注目ポイントになるでしょう。
大規模な自社株買いと配当利回りの魅力
株主を繋ぎ止めるための強力な武器として発表されたのが、最大6,000億円規模の自社株買いです。会社が自分のお金で株を買って消去することで、1株あたりの価値を高める効果があります。
また、配当についても「累進配当(減配せず、維持か増配する)」の方針を打ち出しています。株価が下がったことで、結果的に配当利回りは2%台前半まで上昇しており、長期で持つ人にとっては「配当も貰えて、自社株買いで株価も支えられる」という安心材料になっています。
構造改革とヨークHD売却による変化
先ほど触れたイトーヨーカドーなどの売却(ヨーク・ホールディングス売却)は、2025年9月頃に完了する予定です。これが完了すれば、セブン&アイは「コンビニ専業」に近い会社へと生まれ変わります。
利益率の低い事業を手放し、稼げるコンビニ事業に集中することで、会社全体の「稼ぐ力(利益率)」が向上すると期待されています。この構造改革が計画通りに進むかどうかも、株価予想には欠かせない要素です。
セブンイレブンの株価下落は投資の好機か

最後にまとめとなりますが、今回の「セブンイレブン 株価下落」は、買収バブルの崩壊と北米事業の不振が重なった結果でした。しかし、見方を変えれば、会社が本気で変わろうとする「転換点」にいるとも言えます。
アナリストの評価や自社株買いの規模を考えると、長期的には今の水準が「底値圏」だったと振り返る日が来るかもしれません。もちろん、アメリカの景気がさらに悪化すれば二番底を探るリスクもあります。
投資をする際は、「2026年の北米IPOまで待てるか」「構造改革の進捗を信じられるか」を自分自身に問いかけてみてください。
免責事項
本記事は特定の銘柄への投資を推奨するものではありません。株式投資には元本割れのリスクがあります。最終的な投資判断は、必ずご自身の責任において行い、必要に応じて専門家にご相談ください。

