コンビニ経営に興味がある方なら、一度は「ファミリーマート オーナー 年収」といったキーワードで検索したことがあるのではないでしょうか。青と緑の看板でおなじみのファミマですが、実際のところ儲かるのか、それとも厳しいのか、その実態はあまり知られていません。特に気になるのが「2000万円保証」という言葉の裏にある仕組みや、実際に手元に残る手取り額ですよね。また、夫婦で経営した場合の世帯年収や、開業に必要な資金についても詳しく知りたいところかなと思います。この記事では、公表されているデータや実際の契約形態をもとに、オーナーの財布事情を徹底的に深掘りしていきます。

- ファミリーマートオーナーの平均的な年収と手取りの仕組み
- 2000万円保証の本当の意味とそこから引かれる経費の内訳
- 競合他社と比較した際のメリットや独自の支援制度
- 開業資金や労働時間など経営を始める前に知っておくべきリスク
ファミリーマートオーナーの年収と実態

まずは皆さんが一番気になっているであろう、お金の話からズバッと切り込んでいきましょう。ファミリーマートのオーナーになると、実際のところどれくらいの年収が得られるのでしょうか。「2000万円保証」という景気の良い数字が一人歩きしがちですが、その内訳を正しく理解していないと、思わぬ誤算が生じるかもしれません。
2000万円保証と収入の真実
ファミリーマートのフランチャイズ契約資料を見ると、デカデカと「年間総収入2,000万円保証」(24時間営業の場合)という文字が目に入ります。これを見ると、「えっ、最低でも年収2000万円もらえるの?」と勘違いしてしまう人もいるかもしれません。
しかし、ここは冷静になりましょう。この2000万円は、あくまで「加盟店総収入」の保証額であって、オーナーの個人の年収(手取り)ではありません。
加盟店総収入とは?
売上総利益(荒利)から、本部に支払う「ロイヤリティ(本部フィー)」を差し引いた残りの金額です。
つまり、この2000万円の中から、お店を運営するための最大のコストである「人件費」や、廃棄ロス、消耗品費などを支払わなければならないんです。あくまで「経費を支払うための原資」を保証してくれているのであって、利益そのものを保証しているわけではないんですね。
これは、「とりあえず人件費を払ってお店が潰れないようにするためのセーフティネット」と考えたほうが実態に近いかなと思います。
実際のオーナー手取り額の目安
では、経費を支払った後に残る「本当の手取り(営業利益)」はどれくらいなのでしょうか。複数の業界データや分析をもとにすると、ファミリーマートオーナーの推定平均年収は、おおよそ以下の範囲になると考えられます。
推定平均年収:約618万円 ~ 667万円
「あれ、思ったより普通かも?」と感じた方もいるかもしれませんね。もちろん、これはあくまで平均的な数値です。
手取り額を大きく左右するのは、間違いなく「人件費」です。例えば、24時間営業でアルバイトさんをフルに雇った場合、人件費だけで年間1,500万円近くかかることも珍しくありません。保証された収入の大部分が人件費に消えていく計算になります。
そのため、オーナーの最終的な手取りを増やすためには、「いかにオーナー自身や家族がシフトに入って人件費を削るか」という点が、非常にシビアに問われてくるのが現実です。
ファミマの年収は低いのか
年収600万円台という数字をどう捉えるかは人それぞれですが、「コンビニオーナー=大金持ち」というイメージを持っていると、少しギャップを感じるかもしれません。
正直に言うと、業界トップのセブン-イレブン(推定平均700万円台〜1,000万円クラス)と比較すると、ファミリーマートの平均年収はやや見劣りする傾向にあります。これは、1日あたりの売上高(日販)において、セブン-イレブンが圧倒的な強さを持っていることが主な要因です。
しかし、ファミマには他社にはない強力な武器があります。それが「水道光熱費の90%を本部が負担してくれる」という制度です。
電気代高騰時代の救世主
昨今の電気代高騰の中で、光熱費のほとんどを本部が肩代わりしてくれるのは、経営の安定性という面で凄まじいメリットです。
爆発的な利益は出にくいものの、経費負担が軽いため、大きく負けるリスクも低い。「攻めのセブン、守りのファミマ」といったイメージを持つと分かりやすいかもしれませんね。
夫婦経営での世帯年収試算
多くのオーナーさんは、ご夫婦や家族で経営されています。実は、コンビニ経営において最も効率よく世帯年収を上げる方法は、「家族経営」なんです。
もしオーナー1人が経営し、残りをすべてアルバイトに任せた場合、前述のように人件費がかさみます。しかし、例えば夫婦2人で交代しながらガッツリお店に出れば、その分アルバイト代(月額数十万円分)がそのまま家の収入として残ることになります。
仮に、月間50万円分の人件費を夫婦の労働で浮かせたとしましょう。
年間で600万円の経費削減になりますから、先ほどの平均年収にプラスオンされる形で、世帯全体で見れば1,000万円を超える収入を得ることも不可能ではありません。
ただし、これは「夫婦ともに長時間労働をする」という対価ですので、ワークライフバランスとの兼ね合いは慎重に考える必要があります。
競合他社とオーナー収益比較
ここで、主要コンビニ3社の収益モデルをざっくりと比較してみましょう。それぞれに特徴があり、どこが自分に合っているかを見極める材料になります。
| 項目 | ファミリーマート | セブン-イレブン | ローソン |
|---|---|---|---|
| 推定年収 | 約618~667万円 | 約763~1,000万円 | 約300~700万円 |
| 売上力(日販) | 低め | 非常に高い | 標準 |
| ロイヤリティ | 標準(49%~) | 高め(56%~) | 低め(45%~) |
| 光熱費支援 | 90%本部負担 | 80%本部負担 | 50%本部負担 |
こうして見ると、ファミリーマートは「ミドルリスク・ミドルリターン」で、特に経費のサポート体制が手厚いことが分かります。一発逆転を狙うというよりは、安定した自営業として長く続けたい人に適したモデルだと言えそうですね。
ファミリーマートオーナーの年収と開業資金

収益の話の次は、実際に始めるために必要なお金「開業資金」や、オーナーを悩ませる現場のリアルな課題について見ていきましょう。年収を得るための「コスト」とも言える部分です。
必要な開業資金と初期費用
以前のコンビニ経営といえば、開業するだけで300万円以上の資金が必要なイメージがありましたが、ファミリーマートでは2020年の制度変更でこれが劇的に変わりました。
現在、契約時に必要な資金は「150万円」のみとなっています。しかも、驚くべきことに「加盟金」や「研修費」といった掛け捨ての費用は0円。この150万円は全額「元入金(もといれきん)」として、お店の釣銭準備金や商品の仕入れ代金に充てられるんです。
ここがポイント!
実質的な「捨て金」なしでスタートできるため、参入ハードルは業界でもトップクラスに低くなっています。
ただし、これだけで安心はできません。本部も「手元資金として1,000万円程度あるのが望ましい」と推奨しているように、開業後の生活費や、スタッフ募集費、不測の事態に備えた運転資金は別途しっかり用意しておく必要があります。「150万円あればなんとかなる」と思って飛び込むのは危険ですので注意してください。
ロイヤリティと経費負担の仕組み
オーナーの年収を削る最大の要因、それが本部に支払う「ロイヤリティ(本部フィー)」です。ファミマの場合、売上総利益(荒利)に対してパーセンテージがかかる仕組みになっています。
特徴的なのは、利益額に応じて率が変わる「スライド方式」を採用している点です。例えば、自分で土地や建物を用意するプラン(1FC-A)ならロイヤリティは低くなりますが、本部が用意した店舗に入るプラン(1FC-C)だと、ロイヤリティは50%〜60%近くに設定されます。
「半分以上持っていかれるの!?」と驚くかもしれませんが、その代わり家賃や建物のメンテナンス費用は本部持ちです。このロイヤリティを払った残りから、さらに人件費や廃棄ロス(一部本部負担あり)を払うことになるので、やはりここでも徹底した経費管理が利益確保のカギとなります。
経営がきつい・辞めたい理由
ネットで検索すると、「ファミマ オーナー 悲惨」「辞めたい」といったネガティブなワードも目につきます。なぜ多くのオーナーが苦悩するのでしょうか。
最大の理由は、やはり「人手不足によるオーナーの負担増」です。
どんなに売上があっても、アルバイトが集まらなければお店は回りません。そうなると、オーナー自身がレジに立ち、品出しをし、清掃をするしかなくなります。24時間365日営業のお店ですから、スタッフに穴があけば、深夜だろうが早朝だろうがオーナーが埋めるしかないのです。
また、最低賃金の上昇も経営を直撃します。売上が変わらなくても人件費だけが年々上がっていくため、利益が圧迫され、「働いても働いても手元に残らない」という状況に陥りやすいのも、辞めたい理由の筆頭に挙げられます。
休みが取れない過酷な労働実態
年収と引き換えに差し出さなければならないもの、それは「自由な時間」かもしれません。
経済産業省の調査によると、コンビニオーナーの約85%が「週休1日以下」で働いているという衝撃的なデータがあります。さらに、その多くが家族総出で1日12時間以上店舗に関わっているのが現実です。
「年収600万円」と聞くと悪くないように思えますが、それを時給換算してみると、アルバイトの時給と変わらない、あるいはそれ以下になってしまうケースさえあります。
覚悟が必要です
コンビニオーナーは「投資家」ではなく、現場で汗を流す「労働者」としての側面が非常に強いです。体力に自信がないと続けるのは難しいでしょう。
ファミリーマートオーナーの年収総括

最後に、これまでの情報をまとめます。「ファミリーマート オーナー 年収」という切り口で見えてきたのは、一攫千金の夢ではなく、堅実かつハードな自営業の姿でした。
- 平均年収は600万円台中盤が目安だが、人件費次第で大きく変動する。
- 2000万円保証はあくまで「総収入」の保証であり、手取りではない。
- 水道光熱費の90%負担は、ファミマ最大の強みであり守りの要。
- 初期費用は安いが、長時間労働や人手不足のリスクとは隣り合わせ。
ファミリーマートのオーナーになるということは、本部の手厚いサポートという「盾」を持ちながら、地域社会の中で自らの労働力を提供して生活の糧を得る、という選択になります。もし検討されているなら、甘い言葉だけでなく、こうした厳しい現実もしっかり見据えた上で判断されることをおすすめします。

