コンビニ24時間営業のメリットとは?課題と今後の展望も解説

24時間営業3 コンビニ

私たちの生活に欠かせないコンビニエンスストア。その最大の魅力として挙げられる「コンビニ 24時間営業 メリット」について、深く考えたことはありますか。いつでも開いているという利便性の裏には、実は多角的な側面が存在します。

この記事では、単なるメリットの紹介に留まりません。そもそも24時間営業が本当に必要な理由や、その経営上の根拠を探ると同時に、経営者を悩ませる人手不足といったデメリット、深夜の防犯対策の課題にも切り込みます。さらに、時短営業が契約上違法になるのかという法的な論点、そして24時間営業の廃止を求める声と、存続を望む賛成意見の対立まで、様々な角度からこの問題を掘り下げていきます。

この記事でわかること

  • コンビニが24時間営業を行うことの具体的なメリット
  • 深夜営業が抱えるデメリットや人手不足などの課題
  • 24時間営業の存続に関する賛成・反対両方の意見
  • 無人決済など課題解決に向けたDX化の最新動向

社会が求めるコンビニ 24時間営業 メリット

24時間営業

ここでは、利用者や地域社会の視点から、コンビニの24時間営業が持つメリットや社会的な意義について解説します。

  • そもそも24時間営業が必要な理由とは
  • 利用者と地域社会にもたらすメリット
  • 存続を支持する人々の賛成意見
  • 深夜の防犯拠点としての役割
  • 売上増につながるという経営上の根拠

そもそも24時間営業が必要な理由とは

コンビニが24時間営業を行う最も大きな理由は、現代社会における人々のライフスタイルの多様化に対応するためです。従来の「朝起きて夜眠る」という画一的な生活リズムだけでなく、夜勤や早朝勤務といったシフト制の仕事に従事する人が増えたことで、深夜や早朝にも買い物やサービスを必要とする需要が生まれました。

また、社会インフラとしての役割も非常に大きくなっています。特に、地震や豪雨、大雪といった災害発生時には、24時間営業のコンビニが地域のライフラインとして機能します。実際に、2018年の福井豪雪や過去の大規模災害時においては、多くのコンビニが「災害時帰宅支援ステーション」として、帰宅困難者に対して水道水やトイレ、道路情報などを提供する重要な拠点となりました。

このように、コンビニの24時間営業は、単にいつでも買い物ができるという利便性を超えて、多様な生活を送る人々を支え、いざという時には地域社会のセーフティネットとして機能するという、重要な存在意義を持っているのです。

利用者と地域社会にもたらすメリット

24時間営業は、利用者個人と地域社会の双方に具体的なメリットをもたらします。

利用者にとっては、時間を問わずに生活必需品や食料品を購入できることが最大の利点です。例えば、仕事で帰りが遅くなった際の食事の確保、子どもの急な発熱時に必要な冷却シートの購入、旅行や出張前に忘れ物に気づいた時の対応など、日常生活のあらゆる「もしも」の場面で頼りになる存在です。さらに、公共料金の支払いや宅配便の発送・受け取り、ATMでの現金引き出しといった各種サービスをいつでも利用できる点も、忙しい現代人にとって大きな価値があります。

一方、地域社会にとっては、まず雇用の創出に貢献します。深夜や早朝を含む多様な時間帯の働き口を提供することは、地域経済の活性化につながります。また、店舗の明かりが灯り続けることで、夜道を明るく照らし、体感的な治安の向上に寄与する側面もあります。結果として、コンビニは単なる小売店に留まらず、地域住民の生活を支える多機能な拠点としての役割を担っていると考えられます。

存続を支持する人々の賛成意見

コンビニの24時間営業については様々な議論がありますが、その存続を支持する声は根強く存在します。主な理由は、やはりその圧倒的な利便性と、いざという時の安心感にあります。

実際に、社会課題の投票サイト「Surfvote」が実施した調査では、「コンビニは今まで通り24時間営業すべき」と回答した人が24.1%、「一部の店だけ24時間営業で、そうでない店があってもいい」と回答した人が50%にのぼり、何らかの形で24時間営業の利便性を維持したいと考える人が多いことがうかがえます。

特に、夜間に働く人々や、不規則な生活を送る人々からは「深夜に開いている店がなくなると本当に困る」という切実な声が上がっています。また、災害時の経験から「開いていて助かった」と感じた人も多く、日常生活における利便性だけでなく、非常時のライフラインとしての価値を高く評価しているのです。これらの意見は、24時間営業が一部の人々にとっては代替の難しい、生活に不可欠なサービスであることを示しています。

深夜の防犯拠点としての役割

コンビニの24時間営業は、商業的な側面だけでなく、地域の安全を守るという重要な役割も果たしています。深夜でも明かりが灯り、常に従業員がいる店舗は、それ自体が犯罪の抑止力として機能すると考えられています。

多くのコンビニは、子どもが危険を感じた時に駆け込める「こども110番の家」に登録しており、地域の子どもたちの安全を見守る拠点となっています。また、女性が夜道で不審者に不安を感じた際の避難場所として利用されるケースもあります。

さらに、多くの自治体では、コンビニと防災協定や安全に関する協定を締結しています。これにより、前述の「災害時帰宅支援ステーション」としての機能だけでなく、地域の見守り活動や防犯パトロールの拠点としての役割も担うようになりました。

このように、24時間営業のコンビニは、単に商品を提供する場ではなく、地域住民が安心して暮らすための「セーフティステーション」として、社会的な安全網の一翼を担っているのです。

売上増につながるという経営上の根拠

フランチャイズ本部が24時間営業を推進するには、経営上の明確な根拠があります。最も直接的な理由は、深夜から早朝にかけての販売機会を失わない「機会損失の防止」です。夜勤明けの労働者や夜型のライフスタイルの人々など、日中以外の時間帯にも確実に需要は存在し、これを取り込むことで売上の底上げを図ります。

さらに興味深いのは、24時間営業が日中の売上にも好影響を与えると考えられている点です。「いつでも開いている」というブランドイメージが顧客の信頼と安心感につながり、結果として来店頻度を高める効果があるとされています。一部では、深夜営業をやめると店舗全体の売上が3割ほど減少するというデータも指摘されており、その多くが日中の売上減少分だと言われています。

また、オペレーションの効率化も大きな理由の一つです。客数が比較的少ない深夜帯に、商品の品出しや在庫確認、清掃といったバックヤード業務を集中的に行うことができます。これにより、客数が多い日中の時間帯は接客に集中でき、店舗全体の生産性が向上するのです。これらの理由から、本部は売上最大化と運営効率化の両面で、24時間営業に経営上のメリットを見出しています。

課題から見るコンビニ 24時間営業 メリット

24時間営業1

一方で、24時間営業は多くの課題を抱えています。ここでは、経営者の視点から見たデメリットや、社会問題化している点について掘り下げていきます。

  • 経営者が抱える運営面のデメリット
  • 深夜営業を困難にする人手不足
  • 本部との契約で時短は違法になるか
  • 24時間営業を廃止する店舗の動き
  • 経営者判断による営業時間の最適化

経営者が抱える運営面のデメリット

24時間営業は、店舗を運営する経営者にとって多くのデメリットを伴います。最も大きな負担は、運営コストの増加です。特に深夜帯(午後10時から翌午前5時)は、労働基準法により従業員の賃金を25%以上割り増しで支払う必要があり、人件費が大きく膨らみます。それに加え、24時間照明や空調を稼働させるための光熱費もかさみます。

しかし、深夜帯は一般的に来店客数が少なく、売上も伸び悩む傾向にあります。このため、増加するコストを売上でカバーできず、利益を圧迫してしまうケースが少なくありません。

また、従業員の健康管理や労務管理の負担も増大します。不規則な生活リズムになりがちな深夜勤務は、従業員の心身に大きな負担をかける可能性があり、経営者はそのケアにも配慮が必要です。さらに、深夜は店舗周辺での騒音や駐車場の利用を巡って近隣住民とのトラブルが発生しやすく、その対応に追われることもあります。これらのデメリットは、フランチャイズ加盟店のオーナーに重くのしかかる現実的な問題です。

深夜営業を困難にする人手不足

24時間営業を継続する上での最大の障壁となっているのが、深刻な人手不足です。特に、深夜帯に働いてくれる従業員を確保することは、年々困難さを増しています。

この背景には、少子高齢化による日本全体の労働力人口の減少があります。それに加え、コンビニの時給水準が他のアルバイトに比べて相対的に低い傾向にあることも、人手不足に拍車をかけています。2024年3月の三大都市圏におけるアルバイト・パートの平均時給調査によると、全60職種の中でコンビニスタッフの時給が最も低いというデータもあり、厳しい状況がうかがえます。

募集をかけても応募が全くないという店舗も珍しくなく、結果としてオーナー自身やその家族が深夜シフトの穴を埋めるために、長時間労働を強いられるケースが後を絶ちません。この問題は、単なるコストの問題ではなく、店舗の運営そのものを根底から揺るがす深刻な課題であり、24時間営業の見直し議論が起こる直接的な原因となっています。

本部との契約で時短は違法になるか

「人手不足で24時間営業が困難な場合、営業時間を短縮することは契約上許されるのか」という点は、大きな社会問題となりました。結論から言うと、加盟店が本部に無断で一方的に営業時間を短縮することは、フランチャイズ契約違反と見なされる可能性が高いです。

2019年、東大阪市のセブン-イレブン加盟店が人手不足を理由に時短営業に踏み切った際、本部から契約解除と約1,700万円の違約金を請求されたことは、この問題の象徴的な出来事でした。フランチャイズ契約には、営業時間が定められていることが一般的であり、これを遵守する義務が加盟店にはあります。

ただし、この一件をきっかけに社会的な批判が高まり、公正取引委員会も実態調査に乗り出すなど、状況は大きく変化しました。現在では、各コンビニチェーンともに、加盟店が置かれた厳しい状況に配慮する姿勢を見せています。

チェーン名対応方針条件など
セブン-イレブン条件付きで容認本部との協議および合意が必須。「深夜休業ガイドライン」を策定。
ファミリーマート原則容認2020年3月にFC契約を改定し、加盟店の時短営業を原則的に認める方針を示した。
ローソン協議の上で容認加盟店との協議の上、覚書を交わすことで時短営業を認めている。

このように、現在では「時短営業=即違法・契約違反」という単純な構図ではなく、本部と加盟店との丁寧な協議を通じて、店舗ごとの実情に合わせた柔軟な対応が模索される段階へと移行しています。

24時間営業を廃止する店舗の動き

前述のような課題を背景に、従来の24時間営業モデルを見直し、営業時間を短縮したり、深夜の運営方法を変更したりする動きが具体的に広がっています。これはコンビニ業界に限った話ではなく、例えばファミリーレストランのロイヤルホストは、来客数の減少や従業員確保の難しさから、2017年に全店舗で24時間営業を終了しました。社会全体が、持続可能な働き方へとシフトしていることの表れとも言えます。

コンビニ業界においても、様々な試みが始まっています。ローソンは2019年から、深夜0時から5時の時間帯に従業員がレジに立たない「深夜時間帯の無人営業」の実験を開始し、その導入店舗を拡大しています。利用者は専用アプリで入店し、セルフレジで決済する仕組みです。

同様に、ファミリーマートも無人決済店舗の展開を進めており、2025年2月末までにセルフレジ設置店舗を1,000店に増やす計画です。これらの動きは、テクノロジーを活用することで人手不足の問題を克服しつつ、利用者の利便性を維持しようとする、コンビニ業界の新たな挑戦と言えるでしょう。

経営者判断による営業時間の最適化

画一的な24時間営業から脱却し、各店舗の実情に合わせた最適な運営を目指す上で、DX(デジタルトランスフォーメーション)化が強力な武器となります。最新のテクノロジーを導入することで、経営者はより柔軟でデータに基づいた判断を下すことが可能になります。

セルフレジ・無人決済システムの導入

セルフレジや無人決済システムは、人手不足と人件費削減の課題を解決する直接的な手段です。例えば、TOUCH TO GO社が提供する無人決済システムは、利用者が商品を手に取ってレジゲートを通過するだけで自動的に決済が完了します。このようなシステムを導入すれば、深夜帯を完全無人、あるいは少人数で運営することが可能になり、コストを大幅に削減できます。

データ活用による運営最適化

POSシステムから得られる詳細な販売データを活用することも、非常に有効です。時間帯別の売上や客数、客単価などを分析することで、「本当に自店に24時間営業が必要か」を客観的に判断できます。

例えば、深夜帯の売上が人件費や光熱費を大幅に下回っていることがデータで明らかになれば、時短営業や深夜の無人化に踏み切るための強力な根拠となります。単に感覚で判断するのではなく、リアルなデータに基づいて戦略的に営業時間を最適化することが、今後の店舗経営には不可欠です。

総括:今後のコンビニ 24時間営業 メリット

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この記事では、コンビニの24時間営業が持つメリットと、その裏にある課題について多角的に解説しました。最後に、本記事の重要なポイントをまとめます。

  • 24時間営業は多様化するライフスタイルに対応するために必要とされる
  • 災害時には地域のライフラインとして機能する社会インフラの側面を持つ
  • 利用者にとっては時間を選ばずに買い物やサービスを利用できる利便性がある
  • 地域にとっては雇用創出や夜間の防犯拠点としてのメリットがある
  • 存続を望む声は利便性と安心感を求める利用者が中心
  • 経営側には機会損失の防止や日中の売上向上という根拠がある
  • 深夜の品出しや清掃により日中の店舗運営を効率化できる
  • 一方で深夜割増賃金や光熱費など運営コストの増加が大きなデメリット
  • 深夜帯の深刻な人手不足が24時間営業を困難にしている
  • コンビニの時給水準が他業種より低いことが人手不足の一因
  • 無断での時短営業は契約違反と見なされるリスクがある
  • 現在は各社とも協議の上で時短を容認する方向にシフトしている
  • 社会全体の流れとして24時間営業を見直す動きが広がっている
  • 無人決済システムやセルフレジの導入が課題解決の鍵となる
  • POSデータ分析により店舗ごとの最適な営業時間を判断できる
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